法定相続情報証明制度が士業業界に与えるインパクトについて考える。戸籍収集は行政書士業務?司法書士業務?

2016年7月5日、法務省が、来年度に「法定相続情報証明制度」を新設すると発表しました。コチラでは、この制度が相続人に与える影響について書きましたが、ここでは士業業界に与えるであろうインパクトついて解説します。

実はこれまで、職権用紙という特別な請求書を使っての相続戸籍の収集代行は、実質的に行政書士の独占業務でした。税理士や司法書士も戸籍収集はできるのですが、税理士が戸籍を集める根拠は、相続税申告など申告書の添付書類として。つまり、相続税申告の必要がない90%以上の相続については、税理士は収集代行はできません。

また、司法書士も戸籍収集ができますが、司法書士は特別代理人の申し立てや相続放棄といった家庭裁判所上での手続きに必要な場合や、不動産登記がある場合の添付書類として。戸籍を集めること自体というよりも、他の司法書士業務の添付書類としてという条件のもと、収集ができていました。

一方、行政書士のみは、「相続関係説明図」という事実関係を証する書類の作成のために、戸籍謄本の収集が可能だったのです。

しかし、本制度は法務省の管轄であり、登記所に戸籍一式を提出するとなっています。つまり、この証明書の取得は、司法書士業務とされる可能性が高いといえます。そうなれば、これまでとは異なり、不動産登記や家庭裁判所関連の手続きがない場合であっても、司法書士が相続戸籍の収集をする権利を持つことになる可能性が高いでしょう。

これまで相続サポートとして窓口業務を行ってきた士業は、行政書士が多いように思います。これはおそらく、戸籍の収集というのが相続手続きの早い段階での入口であったことは一つの理由ではないでしょうか。本制度が施行されれば、今後はこの窓口業務のあり方も変わっていくと予想されます。

とはいえ、そもそもマイナンバー制度の施行やIT化に伴い、単なる代行業務でお客様にご満足頂くことは、難しくなっている現状です。今後もいつ、どのような形で、手続きの流れが変わっていくかわかりません。その時に慌ててしまわないよう、単なる作業代行ではなく、コンサルティング的なかかわり方を検討していくことが、必須と言えるのではないでしょうか。お客様自身も、単なる代行ではない部分に価値を感じて選ぶようになっていくと思います。

もちろん、私自身も他人事ではありません。数年前から一部で予想されていた事が、遂に本格的に始まったのかという想いです。お客様に提供していける価値を、改めて見直すべきだと感じています。今後の情報に、注目しましょう。

 

 

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