一部の財産についてだけ記載した遺言書の問題点。記載のない財産は、どうなるのか?

遺言書には特に、すべての財産について記載しなければいけない、というルールがあるわけではありません。例えば、自宅不動産や自社株など、一部の財産についてのみ記載した遺言書も有効です。こういった財産は、自分の財産の中でも特に重要だという場合も多く、確かに何も準備をしないよりは、重要な財産についてだけでも遺言書を残しておいた方が良いでしょう。しかし、私は、このように一部の財産だけ記載した遺言書を作成するのは、あまりお勧めしていません。それは、なぜでしょうか。

「自宅の土地と建物は、長男に相続させる。長男にはこれから先も、この家を守っていってほしい。」

これは、一見何の問題もない遺言書に見えます。確かに、ほかの要件もすべて満たしているのであれば、この遺言書に基づいて、自宅不動産は長男が相続することになるでしょう。しかし、別の問題が生じることになります。

この遺言書に記載のない財産、すなわち、預貯金や現金等については、改めて相続人同士で遺産分割協議が必要なのです。銀行口座は、原則として故人が死亡すると凍結され、「具体的に、誰がもらうのか」という話し合いがまとまるまで、引き出すことはできません。

一部の財産について記載した遺言書の問題点は、ここにあります。仮に相続人が長男と二男の二人であった場合、長男が遺言書で自宅を相続した。では、預貯金はどう考えれば良いのでしょうか。これは、話し合いの段階では様々な考え方が生じうるところです。長男は、「自宅は換金するようなものではないので、預貯金は預貯金で2分の1ずつにしよう」と考えるかもしれません。一方で二男は、「長男は自宅をもらったのだから、預貯金は自分がすべてもらって然るべきだ」と考える可能性もあります。こうなると、話し合いは膠着状態。場合によっては、調停や裁判にまで発展する可能性もあります。その間、故人の口座からはお金が引き出せないわけですから、相続税がかかる場合、税金が払えず困る、という事態になる可能性も否定できません。

一部の財産についてのみ書いた遺言書は、しばしば、この、遺言書に書いた財産以外の財産についての争いや問題を招きます。そのため、どうせ遺言書を作成するのであれば、すべての財産について誰が相続するのか、網羅的に記載をしておくことが、ベターです。

重要な財産だけ記載すればよい、と安易に考えていると、思わぬところで相続人同士のトラブルに発展する可能性があります。(専門家、と名乗る方の中にも、安易にこのような遺言書を書かせてしまう方も少なくありません。遺言書を書く方が、リスクをわかっているなら、良いのですが・・。)

遺言書を書く際は、残された家族を困らせてしまわないためにも、相続が実際に起きた後の現実に詳しい専門家に相談し、様々なケースを想定した問題のない遺言書を作成するようにしましょう。

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